20年前のミニマリスト
まだ、ミニマリストという言葉が使われるずっと前のお話しです。
モノが少ない、シンプルライフにあこがれていた私が手に取った、1冊の本です。
1999年9月30日 第1刷発行
2000年1月20日 第10刷発行
とあります。
大原照子さんは、料理研究家です。
NHKきょうの料理などTVにもよく出られていて、何となく知っている人でした。
本は、ご本人が43歳で英国に語学留学される1974年から、本が発行されるまでの自分と物とのあり方について、経験をもとにお話しされています。
本のどこにも、ミニマリスト、という言葉はありません。
ですがどこからどう見ても、大原さんは“ミニマリスト”です。
“本当に大切なモノがわかると、どんどん自由になる(p.2)”
今、ミニマリストYouTuberの皆さんが言われていることです。
実は大原さんのモノの少ない暮らしは、時々TVで紹介されていました。
とてもクラシックで素敵なアンティークのアームチェアが2客ポツンと置かれた、15畳のお部屋の写真。
大原さんを象徴している、素敵な映像です。
TVで見る前に、私は本でこのお部屋の写真を見ていましたが、広い部屋の真ん中ががらーんとした空間になっていることに衝撃をうけました。
その空間には、素敵なカーペットがひかれているだけ。
私もこんな部屋で過ごしたい、と心の底から思ったのをよく覚えています。
最初に英国留学されたことがきっかけで、その後日本と英国を行ったり来たりされることになるのですが、そんな中、大原さんの気づきは、
英国人や外国人からのミニマルな感覚の影響、
そして、
英国でキャンプをされたこと
にあったようです。
限られた道具、限られた食材で、時間をかけずおいしいものを人数分作る、というキャンプ生活の経験が、物を少なくすることがいかに理にかなっているかに気づかれるきっかけになり、また料理研究家であった大原さんのお仕事にも影響したそうです。
私もたまにキャンプ料理をします。
確かに、1つで済ませられないか、とか、1つで2役3役活躍してくれるものを常にさがしています。
( ↑唐突ですが、一つでスプーンとフォークの役割を果たす、優れものです。登山用品ですが、朝食時にも使っていたりします。)
それは、キャンプだけでなく、日常生活に取り入れてもいいんですよね。
時を超えて別の場所ではありますが、同じ考えだなと、この本を手にするたびに思います。
大原さんは、残念ながら数年前にお亡くなりになっています。
そのさらに数年前、大原さんにお会いしたくて東京・青山にある大原さんの骨董のお店に伺い、ご本人とお話しさせていただいたことがあります。
その時はじめて購入した、英国アンティークの2枚のケーキ皿は、今も現役です。
実は大原さんのもう一つのお顔は、骨董店の店主でした。
時を超えて…。実は心の底では、物が少ない、すっきりした部屋で、自由に暮らしたい、と願っている人は、想像以上に存在するのかな、と思った冬の日でした。
こちらの本は、なかなか手に入りにくいかと思いますが…
それでは、また!