心震える、“夢をかなえるゾウ”の教え
私の電子書籍棚より。
“夢をかなえるゾウ” シリーズ
かつてのベストセラーですね。シリーズ3まであります。
私は大ブームが去ってからベストセラーを読む傾向があるため、人とかなりずれてこの3シリーズを読みました。
昨年末、蔦屋家電の入り口に50㎝×50㎝ぐらいの巨大スペースをとって、この“夢をかなえるゾウ”の文庫が大量に平積みされているのを、通りすがりに目にしました。
文庫になったんだな…。
それが、再読するきっかけになったわけですが。
やはり私だけでなく、いまだに支持されている本なんだなぁ~と平積みを横目で見ながら、自分が初めてこの本を読んだ時の衝撃を再び思い出していました。
衝撃的でした。
読み始めるととまらず、まるで推理小説でも読んでいるような、ハイテンション、ハイスピードで一気に読み切りました。しかも3冊続けて…。
この本に書いてあることは、平たく言うと当たり前のことです。
そして。
矛盾するようですが。
世の中の人たちが気づいていないことでもあります。
誰かに教えてほしい、ぜひ知りたいと、心の底から願っていることでもあります。
でも、気づいていないのです。
社会に出て自分の人生に悩み、もがいている主人公が各シリーズ1人ずつ登場します。
その一人と、インドの神様であるガネーシャというなぜか関西弁(笑)の、予想不可能な行動をとる、見た目がゾウ(笑)であるお方との掛け合いで構成されている物語です。
特に何度も読み返しているのは、最初に手にしたシリーズ1ですが。
『変わりたい』
『成功したい』
と心の奥底で願っている、どこにでもいそうなサラリーマンが登場します。物語の終盤で、実はこのサラリーマンは建築家になりたかったということが判明するのですが、物語では大会社の歯車として、悶々と日々過ごしています。
世間体、収入の保証、親の意見。
そんな理由で夢を諦めて大会社に勤めているけど、まったく幸せではない。
そこから、物語は始まります。
変わる、ということは簡単ではありません。
ですがガネーシャからの、面白く、時に非常識な“課題”をこなすうち、どうしたら自分が変われるか、成功できるか、が少しずつ分かってくる主人公。
ガネーシャの教えは、当たり前の事ばかりなのですが、よく考えると実行できていないことが多いと気づきます。
一例ですが、
・靴を磨く
・コンビニでお釣りを募金する
・食事を腹八分目におさえる
・人がほしがっているものを先取りする
・会った人を笑わせる
・トイレ掃除をする
・まっすぐ帰宅する
・その日頑張れた自分をホメる
・一日何かをやめてみる
などなど。
ガネーシャの教えはまだまだ、続きます。
これらは自己啓発本などで、本当によく目にする言葉のような気がします。
もしこのシリーズ本が、“教え”を教科書のように、論文のように書き記したものだったら、私はそもそも、この本を読んでいないでしょう。きっと、ベストセラーにもならなかったでしょう。
このシリーズの面白さは、
・当たり前の教えが、
・具体的に、
・分かりやすく、
2人のおかしなやり取りや、日々の生活を通すことで、
読者の心に、まっすぐ入っていく点だと思います。
普通に本に書かれただけでは、このような「あ~知ってるよ、わかってるよ」というような教えは、なかなか素直に心に入ってこないものです。
ガネーシャのぶっとびな発想と、それに振り回されながらも必死でついていき、気づくと少しずつ自分が変わっていっているサラリーマンの成長が、見ていて勝手に今の自分と重なる。
とてもわくわくするのです。
きれいごとで終わっていないのも、この本に好感が持てます。
素っ頓狂なようでいて、最終的にガネーシャは大事なポイントを押さえています。
それも、安心して読了できた理由です。
自己啓発本のような、『教え』本を読者の心に届けるには、絶対に“具体性”が必要なんだと思いました。
実話でも、小説でもいい。
ちなみに。
多くの歴史上の著名人が、ガネーシャのかつての友達として話に出てきますが、著名人の名言をたくさん知ることができるのも、この“夢をかなえるゾウ”シリーズの醍醐味だと思います。
それでは、また!